2016年2月21日日曜日

2016.2.11~2.12 霞沢岳西尾根

お久しぶりです。Nです。1月は山に行けなかったので年末の中崎尾根以来、40日ぶりくらいの登山となりました。今回は北アの地味目な名山、霞沢岳を冬季では一般的らしい西尾根から登ってきました。個人では2014年9月に餓鬼から縦走した際に徳本峠から登ってましたが、その際の景色が素晴らしいと吹聴した結果、Hさんが興味を示し今回の行き先となったのでした。

日程:2016.2.10夜行~13
メンバー:N(CL兼書記)、Hさん、M、K御大(OB)

2/10
 K御大の運転するライトバンで一路沢渡へ。途中、私が運転することもあったがMTのため非常に恐ろしい思いを同乗者にさせてしまった。ある意味今回の核心部であった。翌2:30沢渡着。車中泊。

2/11 快晴
 5:30起床。Hさんが手配しておいてくれたタクシーに乗り釜トンネルへ移動。タクシーの運転手さんがかなりインパクトのある方だった。朝飯を食べ7:00出発。およそ1.3㎞のトンネルを黙々と歩く。


登山口である。

 7:45西尾根の登山口着。ワカンを装着し8:00発。ここからは我々だけの登山である。割とフカフカ雪だが膝下くらいまでの深さで歩きやすい。国交省の事務所を右手に見ながら取りつき点を探す。沢状になった個所があり歩きやすそうなので取りつき点としようとするも、御大から危険だとの指示があり、横の尾根っぽいところを登る。しかし岩などが露出しており結局、沢を詰めることに。
 8:55尾根上に上がる。高度1630m付近。尾根上には目印のテープがあり、ここから先にもついているようだった。今回K御大手製の竹竿を15本ほど持ってきたので無駄かもしれないが立てておいた。なぜなら丈が長く、樹林帯でめっちゃひっかり至極邪魔で使い切りたいからだ。運搬はMさんががんばった。
 ここから尾根上を忠実にたどって高度を上げていくが、斜度が結構きつい。雪壁のように感じる部分もあり、木につかまりながら体を押し上げる個所もあった。雪もさほど深くないので早めにアイゼンに履き替えた。9:45、1730m地点。まだまだ急な登りは続く。先頭のラッセルは私とMさんが初日は交代で行った。2日目は7割がたやってもらった。すいません。

こんな感じの倒木を抜けるところも。


←雪はそんなに多くないけどオールラッセルはやっぱり結構きつい。









がんばる御大。







  トップは一度もなかったけど御大の足は→
  一度も攣ることはなかった。流石。 













 12:40、1980m付近の平坦地にテント設営。ほかの記録では1920~50m付近でテントを張っているようだが、少しでも明日の行動を短くするため幕営地を2000m付近としたのだった。テン場からは樹林の間だが穂高が見えた。終日素晴らしい天気で、テント外にいても全く寒くはない。K御大は設営後すぐに焼酎を飲みもはや昼寝モードだ。Hさんは明日の行動を早くするため上部にトレースをつけに行ってくれた。特にすることもないので3人で宴会をはじめ、16時前くらいから夕飯を作り始めた。本日の食当は私。メニューはキムチ鍋だ。材料は2キロ弱くらいで重かったが生肉と野菜苔類を大量に投入し非常においしい出来栄えとなった。〆はK御大からもらった正味期限切れのα米おこわでキムチ雑炊とした。美味しかった。食後すぐに御大が寝息を立て始めたので全員寝ることとし、18時前には完全就寝。よく眠れ、私は23時半まで全く目を覚まさなかった。

幕営地。
くつろぐ御大とキムチ鍋




2/12 晴れのち曇り
 3:00起床。朝食のパンとスープを飲み、K御大も速やかにキジ打ちを済ませ、5:00発。珍しく目標時間内に出発することができた。前日Hさんがつけておいてくれたトレースを過ぎるとすぐに斜度が立ち厳しいラッセルとなる。ピッケルの歯が刺さる層まで雪を崩し進む。個人的にはこの個所が一番やらしいと感じた部分だった。5:35に2050m付近。ここで登ってきた西尾根と南側の枝尾根が合流し、西尾根はまっすぐ西へ延びていく。斜度も幾分緩やかとなり登りやすい。この2050地点でルートの印象が変わったと思う。まだまだ樹林帯は続くが、雪稜っぽい雰囲気となった。
 6:20、2340m付近の若干展望が開けた地点で休憩。朝日に輝く乗鞍、御嶽が美しい。

乗鞍、御嶽の朝焼け。


気持ちのよいリッジを行くM。


2450mを超えた付近より尾根が痩せ、ナイフリッジとなっている個所が出てきた。南側は切れ落ちているため、北側寄りにトレースをつける。天気は相変わらず最高で振り返れば焼岳が美しい。気分は最高だ。2500m付近に岩塔がありこのルートの核心だそうだ。あまり傾斜は立っていないので皆ノーザイルで登った。ちなみにフィックスロープが張られていた。

核心部を登るHさん。

核心部を抜けて振り返ったところ。H、K。

 核心部を抜けてもしばらく痩せた尾根は続いたが、本峰へ近づくにつれのびやかな尾根となる。森林限界を超え、気持ちの良い尾根歩きだ。穂高連峰もばっちり見えている。
 9:50ついに頂上着。夏はハイマツに覆われておりK1ピークのほうがよい眺めだったが、冬はすべて雪の下。本峰からも素晴らしい眺めだ。霞沢から見る穂高は明神から西穂までが一体となって立体的に見える。まさに穂高が一つの山塊となり、ここからしか見られない穂高の姿だ。と、私は思う。結構風は強く寒いため記念撮影して下山開始。

頂上間近の雪稜。

風紋と穂高連峰。
あれが山頂。

登ってくる人。

記念撮影。何枚か撮った中で一番面白いやつ。左からK、M、N、H

 少し降って風の弱いところで休憩し10:20位発。降りは核心部でザイルを出した。確保するのにちょうどよい灌木があり、そこでセルフビレイをとり3人を降ろし、自分はクライムダウンで降りた。その後は、登りで苦労した場所も降りではあっというまで11:20テン場着。テントを片付け、コーヒーを沸かして飲んだりし12:25発。
 気温が上がり昨日とは雪の状態が変わっており腐っていた。着けているアイゼンに玉になってくっつき歩きづらかったが、13:40には登山口に到着した。ところどころでスノーボールが落ちてきており、よい時間に登って降りてこられたと実感。テン場まで登り7時間10分で降りは1時間15分ばかしだった。やはりラッセルは時間がかかるのだ。結局西尾根では他のパーティーとは誰とも会わなかった。
 当初は小梨平でテントを張り翌日下山予定だったが、翌日の天気が上高地でも雨であり、下山を決定。せっかく時間があるので中の湯か坂巻温泉に行こうとの話となった。しかし、前者は予約制で後者は休業日で両方寄れなかった。今回の山行で唯一の敗退であった。残念。沢渡までタクシーで戻り島々の温泉〈名前失念)へ寄った。帰京してもよかったのだが翌日は土曜日だし、車中泊することとし、コンビニで買い出しをし、道の駅で宴会(車の中で)。皆大いに飲んでいた。駐車場にテントを張って寝た。

 年末中崎尾根に続き、今回も素晴らしい天候に恵まれよい山行となった。山の神様に感謝なのである。霞沢は目立たない山だが、展望は素晴らしく、また、冬季西尾根は岩場、雪稜等の要素が短いルートにコンパクトに詰まったよい尾根だと思う。冬山経験を積む点でぜひおすすめしたい。
 
 今シーズン中にあと1本くらい北アの尾根に登りたいなぁ。

2 件のコメント:

  1. お疲れ様でした!良い山行ですね(^^)来週も楽しめると良いですね! 坂本

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  2. 本当に素晴らしい景色に出会えて運が良かったですよね~。しかもこんないい日に他の隊がいないなんて贅沢な環境でした!雪は形が変わるので、こんなにいい時ばかりでなく難しいときもあるでしょうけど、やっぱり雪山っていいよなぁと思わされる山行でした。N&Mのツートップでのラッセルなどありがとう!※記録も面白かったです。長谷川

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