2016年1月28日木曜日

厳冬期西穂高岳(上高地から)

日程:平成28年1月22日〜23日
天候:曇りのち雪
メンバー:長谷川(CL)、廣井、河合(OB)、伊藤(書記)


 冬山の入門コースで知られる西穂高岳ですが、通常は新穂高ロープウェイを使用していきます。今回は長谷川さんの提案により上高地から進入することになりました。事前の情報によると、こちらから登山する人はあまりおらず、トレースはほぼない模様。


【山行計画書】
沢渡ー釜トンネルー大正池ー田代橋ー西穂高岳登山口ー西穂山荘ー西穂独標ー西穂山頂



 天候が荒れる予定だったため、上高地から進入すると「雪崩の巣である釜トンネル出を通過するのは危険だ。」という河合さんの意見もありましたが、とにかく現地に行ってみる!危険を感じたら撤退!ということになり、予定通り上高地からのルートに決定しました。


 河合さんの車で、21時に横浜を出発して沢渡へ向かいます。新島々駅のセブンイレブンが最後の買い出しポイントです。


 翌1時30分に沢渡市営第二駐車場に到着、そのまま車中泊しました。この駐車場、夏は車で賑わっていますが、この時期はガラガラでしかも無料です。やったぜ。朝4時30分に起床して、長谷川さんが沢渡に1台しかとまっていなかった第一交通タクシーを手配できたことで5時30分にはタクシーに乗り込むことができました。釜トンネルまで2,900円、運転手に西穂高に登るんだと伝えたら、「帰りは大正池ありから電話してくれればタクシー来るよ。」って教えてくれました。親切な人だなぁ。



 6時過ぎ、釜トンネルを出発。気温はマイナス15℃。トンネルを抜け、大正池を横切り、田代橋を目指します。ここまでは除雪されているのでとても歩きやすいです。ちなみに新釜トンネルの出口付近は一部雪崩の危険があるようなので注意が必要です。



上高地は歩きやすい



 大正池に映る山々は美しく、心が澄みます


 西穂高岳登山口に到着。ここから先はトレースがまったく無く、雪も深いため全員わかんを装着し、8時30分に出発。


熊の注意書きにビビる伊藤

わかん装着してないじゃん

 フッカフカのパウダー雪なので、ラッセルが大変。順次、先頭を交代して進みますが、久々の装着のためか、わかんしょっちゅうずれてタイムロス。極寒の中、わかん装着を何度も修正するのはストレスと疲労が蓄積してしまうので、きっちり装着したいものです。


頑張る河合さん
へばる伊藤


 急登になるにつれて、ラッセルの恐ろしさを体感することになりました。雪を踏み込んで固めようとするのですが、雪が柔らかすぎてズボっと腰まで抜け落ちてしまうのです。

踏み込む→腰まで沈む→復帰→踏み込む→腰まで沈む→復帰…

 この繰り返しで体力を大幅に消耗してしまいました。頑張るものの、距離と高度を稼げず時間だけが経過していく。そんな中でも廣井さんが健闘して、サクサクとラッセルをしてくれました。しかし、後続の河合さんや伊藤は重量級のため、せっかくのラッセルも踏み抜いて腰まで沈んでしまうという…なんだこれは、たまげたなぁ(白目)。






 結局、夏のルートタイムの5倍の時間がかかってしまい、高度2,000m付近でテントをたてました(14時45分頃)。


ここをキャンプ地とする!


 このままでは、山頂どころか西穂山荘にもたどり着けないペースなので、長谷川さんと伊藤で日の入までトレースをつけることに。途中に「宝水」のポイントを見つける。ほう、どれどれ、今どのあたりなのかな~、もうすぐ西穂山荘なのかなぁ~デュフフ、と地図を確認すると、まだ半分も行ってませんでした。がっくり。
「この上に水はありません」って書いてあります。ここにも無いやん、どうしてくれんのこれ。


 とりあえず、高度2,100mまでトレースを付けて帰ることにしました。
空身でラッセル



 17時にテントに戻ると、温かい紅茶が待っていたのでした。トイレも完成していました。ありがたや。
 夕食は長谷川さんの自家製チャーシュー入りの鍋&河合さん秘蔵のアルファ米(賞味期限は半年しか過ぎていない)。極寒の地で食べる鍋の味は、最高においしいです。
 

 19時就寝、4時起床、カレーうどんを食べ6時出発。粉雪が降っており、風は比較的穏やか。気温は体感でマイナス20℃。おととしモンブラン遠征時にホワイトアウトした際もよくわからないジャージを着て、「はー、温かい。」って言ってた、あの河合さんが寒いって言ってた。とにかく寒い。





 もうこの時点で山頂はあきらめていたので、西穂山荘を目指しアイゼンは持たずにわかんを装着。荷物はテントに置いて出発。前日にトレースを作ったおかげで、暗闇の中も順調に進めました。高度2,100mを過ぎてから、またラッセルが始まりました。
 昨日と比べ、荷物も少なかったので比較的楽なラッセルでした。でもねぇ…。



ラッセル三昧

この雪量ではちょっと…

 8時35分になり、高度計は2,400mを示している。もう西穂山荘に着いてもいい高度なのですが、結局たどり着くことができず、ここで撤退を決定しました。翌日に伊藤がどうしても外せない業務があって帰らなければならなかったのです。すみません許してください、何でもしますから。


撤退場所で記念撮影
すっごく寒い
ここまで登ったよ、の頭文字「C」を再現(謎)



 9時30分過ぎにテントに戻り、撤収作業を開始。ラッセルで頑張りすぎて汗をかいてしまいました。オーバー手袋もシュリンゲも凍りつく状況であり、汗が体を凍えさせる原因となってしまいました。下山時は行動中も指先がちぎれんばかりに寒かったです。冬山では「濡れ」が命取りだということを再認識しました。

 10時下山開始。上りに比べ、下山はペースも速く、14時には釜トンネル入り口まで戻っていました。大正池で長谷川さんが行きに利用した第一交通の運転手さん経由でアルピコタクシーを手配してもらったおかげでスムーズに帰りのタクシーにも乗車することができました。本当にありがたや。(ちなみに、お正月以降の雪が深いこの時期、予約しておかないと沢渡までタクシーが上がってこないそうです。時間により中の湯バス停からアルピコバスの利用が1000円/人で可能だそうです。)



 登頂はできなかったものの、山行自体は楽しくて充実していました。また、山行の課題をいくつも確認することができ、次回に繋げられる登山となりました。





【総評】河合さん(66歳)からのお言葉
 私にとっても久しぶりの「雪山らしい雪山」となりました。そういえば20代の頃はこんな感じの登山が多かったように思います。
 このコースは2泊+予備日がほしい。でも今回は今回でとても楽しかったし、皆も雪が少しわかってきたなって感じ。とても良い山行でした。
・長谷川さんの企画力と粘り
・伊藤さんの体力
・廣井さんのルートファインディング
それぞれなかなかのものでした。


2 件のコメント:

  1. 学びにおいて失敗と経験に勝る宝はなし。Good Job! 坂本

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  2. この日前後に新穂高ロープウェイからあがって西穂高目指した人はそこからでもものすごいラッセルで敗退だったそうですのでそういう日もありますよね~でも挑戦できるのも時の運だから、上高地から挑戦できるなんて途中までにせよ、これはこれでやっぱり行ってよかったなぁと思います。廣井さん、伊藤さん、河合さん一緒に行ってくれてありがとうございました!長谷川

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