2016年3月23日水曜日

谷川岳東尾根

平成28年3月20日~21日 

天候:雪

メンバー:坂本(CL)・長谷川・廣井・伊藤・野戸


3月の連休を使用して谷川岳初級バリエーション東尾根を計画した

今年は降雪が例年の半分と少なく、日程的にも不安があった

19日夜行・20日アタックの予定だったが、20日は南岸低気圧の通過後によるコンディションの悪さ

と高気温からの雪崩が予想されたため、気温が下がり雪がしまる21日をアタック日とした

20日の朝7時にクルマ2台で出発し、SAで合流し12時過ぎにロープウェイ駐車場に到着

その後、一ノ倉沢と一ノ沢取付の偵察に出かけた

途中、登山センターで計画の変更を行い、木や岩が見えていることと22日から入山禁止になるこ

とを告げられコンディションの悪さにすこ~し不安になった

駐車場から一ノ倉沢までは約1時間

積雪もなくトレースもあり順調に進んだ

一ノ倉沢から一ノ沢までは、部分的に滝壺が見えたりと降雪の少なさを物語っていた

ここ1~2日の降雨や降雪でトレースも消えておりデブリもかなり見られた

一ノ沢下部にかなりのデブリがあったが、どれも沢ではない側壁の雪がことごとく雪崩れており

岩や地面がむき出しとなっていた

この状況では側面からの雪崩は無く、沢自体の全層雪崩のリスクが考えられたが気温が落ち

雪が締まれば行けると判断し翌日のアタックを決めた

駐車場に戻り、ささやかな持ち寄りパーティーを行った

夕食ではカレーがスープカレーになるアクシデントがあったが、結果、翌朝にカレーラーメン

として使用でき無駄がなく幸先良好であった


21日

朝1時半起床、3時スタート

天気は雪

表層雪崩が頭をよぎるが降雪量自体が少ないのでリスクは少ないと判断する

4時過ぎに一ノ倉沢到着

先行パーティーは1組

アイゼンを装着しクライミング開始




谷川岳は、雪により視界が悪く、偵察していなかったら迷ったかもと思うくらい暗く静かだった

たまに見える先行パーティーを追うように取り付きに到着

雪は予想通りしっかり締まっており、先行グループのアイゼン跡が解らないくらいであった

東尾根の第一関門はこの一ノ沢

斜度もあり、雪崩が来れば逃げ場もなく飲まれるだけ

雪が締まっている間にシンセンのコルに上がることが求められる

先行パーティーを途中でぬかし、一気にコルにあがった

ここはさすがの山岳部、ここぞの体力は折り紙つき


登ってきた斜面


登る部員


雪が弱まったり、晴れ間が見えたりと予報どおりに高気圧が張り出して来るのを待ちわびる

沢を登り切りコルに到着するも何か景色が違ったが登り切った場所がシンセンのコルだった

降雪量の少なさから例年とは大いに違う状況だった

コルから第二岩峰までも藪や岩が露出しており雪陵とは程遠く登りにくい状況であった

第二岩峰は雪がなくピッケルの効く場所も少なく4級ほどに感じた

野戸・伊藤隊員はフリクションでクリアー、長谷川・廣井隊員はビレイでクリアー

第二岩峰を超え、雪の降る中しばらくは雪陵が続く

気温は下がっていて雪は締まり続けていたので快適に登れた

寒さはそれほどではなかった


第二岩峰先の急斜面、ピッケルとアイゼンが良く効いた


標高1700m付近からはガスの中となり、魔の山谷川岳が姿を見せた

しかし、一丸となって登攀を続けた


雪庇はすでに崩落しており、ナイフリッジも締まっていて難なく通過

ついに核心の第一岩峰が現れた

冬に戻った魔の山の第一岩峰は海老のしっぽと着氷に覆われ異様な姿だった



難易度は4級+ほどだが、氷雪に覆われ難しく感じた

落ちる覚悟で登り何とか踏ん張り登ったが久々に冷や汗をかいた

野戸隊員はフリクションでクリアーしたが、伊藤隊員が予想以上にてこずる

第一岩峰は体重移動が上手くいかないと登れない

また上部ビレイ点も良いところがなく雪面にピッケルを埋め込んでのビレイ

何度かテンションがかかる中、不意に大きなテンションがかかった

座った状態で身体が引きずられ左足とピッケルで何とか支えた

ピッケルでも支点になることを学べたのは良かったが、そう何度も持ちこたえられとは考えられず

時間経過と続く降雪、寒さ、この後の雪壁、岩峰を巻くにしても状況が良くなく時間もかかる等

総合的に考え、伊藤・廣井・長谷川隊員には悪いが3人で巻くことを進言した

岩峰を巻いた3人と合流し最後の雪壁を登る

上部には雪庇がなく岩が露出しているような状況であった

クライマックスの雪庇超えは無かったが、難易度が上がった雪壁越えとなった

トータル7時間で無事完登



下降ルートは西黒尾根を使用し、11時間半の長い登山が終わった

決していい条件ではなかったし、それぞれに課題が残る登山となったが

「苦労というプロセスなくして成長はない」

メンバーの成長につながる貴重な糧となり良い登山であった

東尾根は初級ではあるが、谷川岳ならではの雪壁・岩峰・雪陵があり一般的なバリエーション初級

ではないように感じた

まさに谷川岳では初級と言えるルートであり、雪山の醍醐味を味わえる最高のルートであった

是非、次回は岩峰を踏破して完全制覇をしてほしい。


記:坂本








1 件のコメント:

  1. お疲れさまでした。
    天気、雪のコンディションによって東尾根もずいぶん雰囲気が違ってきますね。
    牽引役の坂本リーダーさすがです!(^^)/

    上野

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