2016年8月13日土曜日

槍ヶ岳北鎌尾根クラシックルート(夏合宿)

槍ヶ岳北鎌尾根を登ってきたので報告します。
「山岳部なのに北鎌尾根登ってないの?…ふーん。」
と言わせないための山行である!(大嘘)

最近の流行ではP2を経由せず、いきなり北鎌コルから登るらしい。
市役所山岳部としては、大先輩達が登ってきたクラシックルートを登りたい。
そんなことを考えている3人衆が揃った。

左から、伊藤、野戸、坂本



日程   :8月10日~12日(山の日) 晴れ
メンバー:野戸(リーダー)、坂本、伊藤(書記)
山行記録:

1日目
高瀬ダム(6:15)→登山口(7:10)→晴嵐荘(8:00)→千天出会(11:00)→P2(14:30?)→P4(16:00)
2日目
P4(4:40)→P5核心部(5:20)→北鎌コル(8:00?)→独標・大トラバース(8:00~10:40?)→槍ヶ岳(13:30)→水俣乗越(16:00)→水場幕営地(18:00)
3日目
水場幕営地(5:00)→北鎌出会(5:30)→千天出会(7:00?)→晴嵐荘(10:00)→高瀬ダム(12:00)


今回は野戸さんの車で七倉ダムの駐車場まで行くことになった。
仕事終わりの21:00に湘南台駅に集合、翌朝2:00に駐車場に到着し、
車内泊をした。「おやすみ」と言って3秒で寝る、5:30に起床。
6:00時頃からタクシーが来るので、それに乗って高瀬ダムまで。

車中泊現場 夜中も車の行き来が多かったらしい












タクシー待ち場 4人一組相乗り













6時ちょっと前にタクシーが続々とやってきた。
ソロのおじさんがいたので、一緒に高瀬ダムまで乗っていった。
2,100円、割り勘で支払う。
ちなみにタクシーを使わないと1時間30分は歩くことになる。
おじさんは槍ヶ岳ではなく、烏帽子岳の方に行くらしい。
我々と同じ方向に行く人達は誰もいなかった。


高瀬ダム










そういえば合宿なのに、全員の荷物がやたらと軽かった。
いつも30kg前後の重さなのに、今回は20kgにも満たなかったと思う。
特に軽量化を意識していた訳ではないのに何故なんだ…。
いつもお酒とかおつまみとか多すぎなのではないだろうか。


6:15 高瀬ダムを出発
晴嵐荘まで沢沿いを歩くので、ほぼ平坦な道でありサクサク進む。
荷物も軽いので軽快だ。晴れているが暑さもそれほどでもなく風も涼しい。
道も舗装されており、条件は最高だ。

途中、慰霊碑があった。ダムの建設で何人もの人が亡くなったのだろうか。
東電の施設を横切ったり、トンネルを3本通りったりしつつ登山道入口に到着する。
7:15

ここまで作業車はこれる
















ここから本格的な林道になる。
ゆるやかな坂道で、軽快に足を進めることができる。
1時間30分ほど進むと名無し小屋があったので、ベンチで一休み。
道の途中でヘルメットをかぶった作業員がいたが、東電の職員だろうか。
暑いのにご苦労様です。

名無し小屋から30分ほど歩くと、対岸に晴嵐荘が見えた。(8:00)
特に用事もなかったので、立ち寄ることはなかった。
高瀬ダムから晴嵐荘まで3時間を見込んでいたので、約1時間も短縮である。
相当いいペースだ。

さらに進み、今にも崩壊しそうな吊り橋を渡り、ここから本格的に渡渉が始まる。
全員スパッツを脱ぎ、沢靴に履き替える。
なるべく浅い箇所を選定し渡渉する














クッソ冷たい。
最初の渡渉では足が痛くなるほど冷たかった。
あと川の勢いも予想以上にある。油断すると流される。
慎重に一歩一歩踏み出して渡る。
とてもサンダルで渡れる沢ではないと思った。
少なくともバランスの悪い私は、沢靴でないと絶対に渡れない。

11:00
途中で中東沢出会を通り過ぎ、十数回ほど渡渉して千天出会にたどり着く。
もうこの頃には沢の冷たさには慣れていた。
日焼け止めは塗りましょう























千天出会から1時間ぐらい?進んで、P2の取付に到着。
ここから本格的な登はんが始まるので、最終水場ポイントでもある。
全員合わせて10L以上の水を持つことにした。
誰もが多すぎると思ったが、一応念のため多めに持つことにした。


沢靴から登山靴へ、水もここで補給























左岸の赤布を目印に進入。
藪漕ぎ感がすごい。その上、ものすごい急傾斜地である。
パワー、スタミナ、知識を高水準に保持する野戸リーダーが先陣を切る!
この男は2年前のモンブラン登山でも、ハイパーラッセルという技で外国勢の度肝を抜いたことがある。
2年前の姿を彷彿させる藪漕ぎで、ぐんぐん高度を上げるのであった…。(強い)
途中、赤布があったり無かったりで、ここ本当にルートなのか?と感じることもあったが、
野戸リーダーのルートファインディング、坂本部長の的確なアドバイスにより、
迷うことなく進んでいく。

こんなところ進んでいきます。


















こんなところということもあり、P2がどこだかわからないまま通過。
高度や時間から換算しても、P2はすでに通過しているのは間違いないようだ…。
そんなこんなで、開けた場所に出た。たぶんP3。
15:30

たぶんP3 野戸さんが北アルプスの山脈を教えてくれる


















疲労感が大きいものの、景色がとても良く、藪から出たこともあり気分が高揚する。
少し休んでからP4を目指す。ちょっと計画より遅くなっている。


16:00 P4に到着
今日はザイルを一回も出さなかった。
P4 景色が最高














急傾斜地の登りが続いており、さすがに疲れたので
30分ほど休憩してからテントを立てる。
慣れたもので5分ぐらいで設営できてしまう。

左のおっさん感と右の山屋感の落差が激しい















具だくさんのスープカレー























本日の夕食は野戸さんによるスープカレー!美味すぎる。
やっぱ…野戸君の料理を…最高やな!
天気も良いので星空も良く見えた。流れ星も綺麗だ。


19:30 完全就寝
翌3:00 起床

















朝食は伊藤作の餅ピザであるが、美味しくなかった。
坂本部長に焦付き芯ありの餅を二度も渡すという悪行。

餅は腹持ちが良いって。今日は一番長い山行になるって。
皆にスタミナ付けてもらいたいと思って…その結果が餅ピザだったんです…。
すみません許してください何でもしますから。


テントを撤収し、4:40に出発。
40分ほど進み、P5の核心部に着く。

リードする野戸さん























グレードはⅢ級程度。
しかし高度感がめっちゃすごいので足がすくむ。落ちると50m以上は落下してしまう。
しかも岩が脆く、崩れやすいためより慎重に行かなければならない。

核心部の上から























Ⅲ級程度なので、度胸さえあれば簡単に行ける。
大胆かつ慎重に登り、3人とも危なげなく突破。


その後、また藪漕ぎと急傾斜が続く。
とにかく藪の量が多く、体力の消耗が激しい。
そのため思ったよりもスピードが出せないため、少なからず焦りもあり
さらに消耗する要因となった。


9:30頃、北鎌コルに到着
遠くに槍が見えた!

「槍が見えましたよー。」「おおー。」「いいねぇー。」
「でもあんな遠くまで今日中に?」「えぇ…。」


10:40?
2,749mのピークに到着
振り返るとP6、P5、P4が見える














振り返るといい景色で、迫力もある。
ここを登ってきたのかぁー、あそこでテント張ってたのかー。


ここから独標を右に巻いて、大トラバースを進むことにした。
一か所だけ、ザイルで懸垂下降をしたところがあったが、
それほど難しいルートではなかった。
しかし、岩が大変脆いこともあり、慎重に進まざるを得ず、
なかなか登はん速度があがらない。
ザレ場も多く、岩が崩れる。
疲れもたまりつつあり、ルート判断にも難が出始めた。

ここまで登り返しが何回もあったので、疲れちゃったのだ。
疲れちゃったのだ!
水も10L以上あったのに、残り僅かになっちゃったのだ!
疲れちゃったんだもん。


大トラバースを抜けて、北鎌平手前?北鎌尾根にて
11:30?

槍ヶ岳が近づいてきた














ここまでくると、もう一般道と同じようなものである。


12:20? 北鎌平
槍の頂上へ向けて最後の登り
























槍のふもとまでやってきた。
あと100mぐらい登れば頂上だ。
登はんのグレードはⅢ級もない、簡単なクライミングだ。
しかし、落ちると数百メートルの落下は免れない状況である。
そこら中にハーケンが打ってあり、残地シュリンゲも存在するがザイルは出さずに登る。
時として山岳部員として度胸も必要なのである。
大胆かつ慎重に登る。


13:30 頂上
やったぜ。















無事に登り切る。
槍ヶ岳の頂上にはたくさんの登山客がいた。
北鎌尾根から来たのは我々だけのようだ。

北鎌コルから登ってくるグループが3、4組あったが、
到着まで2時間以上かかりそうなペースだった。
途中で水がなくなったり、動けなくなったりしないと良いが…。


槍ヶ岳山荘において、坂本部長のおごりでペプシコーラを飲む。
「ッッッッ!」「うまいッ!」
速攻で疲労が回復した。すごいね。美味しいね。
ついでに山荘で2Lのお水を購入する。(400円)


ということで、下山開始。
東鎌尾根から水俣乗越に行き、そこから下って沢にたどり着くという計画だ。

わいもサングラス欲しい…


















東鎌尾根で記念撮影。槍ヶ岳と北鎌尾根の一部が綺麗に写っている。
あそこを登ってきたのかぁ~と考えると感慨深い。


東鎌尾根から水俣乗越まで2時間(長い)
水俣乗越から水場まで2時間(長い)
特に、水俣乗越からの下りがガレ場であり、しかも大変急になっており、
降りるのに難儀した。
疲れ切っている登山者には、情け容赦ないルートだと思った。

本当なら北鎌出会か千天出会でテントを張ろうかと思っていたが、
その途中で水場があったので、そこでビバーグすることにした。

18:00着
水だー



















疲れているので余計なことはせずに、食事の準備に取り掛かる。
本日の夕飯は、坂本部長によるチャーシュー丼&ニュー麺!

美味しぃー!























3人の五臓六腑に染み渡るのであった。
疲れた体も癒されるというものである。

今夜も星空が綺麗だった。
20:30 完全就寝




















3日目
3:30 起床
5:00 出発
























朝食は伊藤のペペロンチーノパスタである。
クッソ激烈にまずい。
自分で作っておいてなんだが、途中で気持ち悪くなってきた。
こんな朝食でも文句を言わずに食べる山岳部員は人の鏡。


帰りは千天出会からは、行きと同じルートである。
緩やかな下りがずっと続くので比較的楽であった。
7時間かけて、高瀬ダムに到着。(12:00頃)
タクシーが止まっていたので、七倉ダムまで乗って終了。



山行計画からオールリードを野戸リーダーが務めた。
槍ヶ岳北鎌尾根制覇は、市役所山岳部が達成したのか、野戸さんが達成したのか、
これもうわかんねぇな?

野戸さんの計画、行動力
坂本部長の強力なサポート
素晴らしいチームだと思いました。
大変お疲れさまでした。
伊藤はいつものび太役ですみません。

【総評】
槍ヶ岳北鎌尾根クラシックルートは体力登山

1 件のコメント:

  1. 良い登山、良い合宿でした(^^)
    徳ちゃん重荷をありがとう!
    のとっち藪漕ぎにリードありがとう!
    二人とも大きく成長した山行でしたね。
    本当にお疲れ様でした!

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