2023年5月20日土曜日

2023.5.9 - 10 前穂高岳 北尾根 慶應尾根


日時:令和5年5月9〜10日

天候:晴れ

メンバー:坂本OB(CL)、野戸、伊藤(書記)

ルート:

【1日目】

上高地バスターミナル(5:30)

徳澤園(6:55)

奥又白谷分岐(8:30)

慶應尾根取付き(9:25)

2,460m付近(11:05)

7峰(13:05)

5・6コル(15:30)

【2日目】

5・6コル出発(4:15)

3峰取付き(6:00)

前穂山頂(8:25)

奥明神ダイレクトルンゼ(9:00)

岳沢小屋(10:30)

上高地バスターミナル(12:00)


【ルート概要】

・慶應尾根取付きから2,460mまでは多少の藪漕ぎとアイゼンを装着した急登

・8峰は巻いて7峰までトラバースでアプローチし、7峰は木とハイマツのド根性藪漕ぎ

・6峰は雪、藪、岩稜ミックス

・5峰、4峰は雪、岩ミックス

・3峰は2ピッチまでザイル使用、3級程度

・2峰で10m懸垂ザイル使用

・奥明神ダイレクトルンゼ下りは体力切れを起こしたら滑落するかも


【概要】

 日本三大岩稜を完登するべく、前穂高岳クラシックルートを登ってきました。これで夢にまで見た、とにかくマウントを取りがちな立派な登山老人に進化することができたぞ!(大嘘)

 槍ヶ岳北鎌尾根をP2から登り、剱岳八ツ峰を下半から登ったので、であれば前穂高岳北尾根も慶應尾根から登りましょうということになりました。涸沢の幕営料が2,000円になったから回避したわけでは無い。


 前穂北尾根を登りましょうと坂本OBからお声掛けをいただく。それなら慶應尾根から行きましょうと野戸氏がルートアドバイス。トポが少ないマイナールートは計画が難しいが楽しい。事前の地図読みから力が入る。

 8日業務を終え、伊藤車で11時30分に野戸っち宅へ、翌2時30分に元太さん宅へ向かいピックアップしたのち、さわんど駐車場へ4時00分着。当初計画ではダブルアックス装備だったが、軽量化の観点からシングルアックスへ変更。ザイルも8mmの50m1本で行くことにした。

 釜トンネルが開くのは5時00分からだが、先にタクシーに乗り込み釜トンネル前で待機してもらい、その間に仮眠を取る作戦を取った。が、タクシーの運転手さんが話好きすぎて眠れなかった。

 結局ろくに眠れないまま上高地バスターミナルに到着し、5時20分に慶應尾根を目指し歩き始めた。暑さを予想し、上半身は夏服スタイルで登山開始。前日まで大雨が降っていた影響で梓川の水量が多かったのが印象的だった。

バスターミナルにて

河童橋と梓川

 6時55分に徳澤園に到着。一人2Lずつお水を補給し、パノラマコースを目指す。新村橋の架け替え工事が行われており、やや手前の橋を渡った。お猿さんがいっぱいいて、なんだかのどかな風景であった。

徳澤ロッヂ

梓川


 パノラマコースを進入、緩やかな登りとなっており、途中から積雪の状態となった。奥又白谷の分岐で北尾根がよく見えた。パノラマコースを右岸側に歩いていたようで、分岐の入り口がわかりずらかった。最初から左岸側を歩くと良いでしょう。



パノラマコースへ


北尾根がよく見える

左岸側の分岐へ

 9時25分に慶應尾根の取付きに到着。すでにいい感じの傾斜となっているが、地図上ここから先が本格的な急登となる。恐るべき藪漕ぎを前に、小休止&栄養補給。ここから気合いを入れるぞ!

慶應尾根取付きで小休止

でた!ロロノア・ゾロスタイル!(ダサ)

藪&急登

 藪藪していたのは登り始め20分ぐらいかな?思ったより藪漕ぎはなく、しっかりと積雪の状況となった段階でアイゼンを装着した。急登きついっす。伊藤が先頭の時はヒヨって浅めに左右ジグザグに登ったが、野戸っちや元太さんが先頭の時は直登かのごとく力強く登っていた。やはり二人はつおい、追いつけねぇぜ。

慶應尾根

ここも意外と雪崩が怖いよね?


 11時05分、2,460m付近ピークに到着。北尾根がよく見える。いいスカイラインだ。

慶應尾根上部、北尾根がよく見える


 2,460m付近のピークから8峰の方向へ登り始める。ここまで良いペースなので8峰ではなく5・6コルで幕営することを決めた。なので、8峰ピークには行かず、ピーク直下から南西側へトラバースで巻いて7峰へ向かう。

7峰へ

8峰を巻いてトラバースへ

いい天気だ

 先頭の二人は黙々とトレースをつけてくれる。伊藤は雪崩の発生にビビりながらトラバースを試みる。

 7峰ピークを奥又白池側から直登。ものすげぇ藪漕ぎだ!ハイマツの森に突入し、最終的にハイマツに乗り上げて登りきった。短時間の藪漕ぎだったが、体力を消耗する登りとなった。もっと楽なルートはあったかもしれない。

尾根上での小休止

7峰ピークで消耗気味

 7峰から6峰へ向かう。そんなに歩きにくくなかったと思う。途中、痩せこけた尾根歩きになったが、その痩せこけたルート上にうんこがあった。人のうんこである。汚らしくトイレットペーパーがかぶせてあった。ブチギレだ。ルートのど真ん中にうんこをする登山家がいるのか、しかも逃げ場のない尾根上でだ。ここまでトレースが全くなかったのに、うんこの跡だけ残すって、お前本当に登山家として、いや人としての心がないんか。海よりも深く、いや山よりも高く、宇宙よりも広く反省しろ!!!!!11111


 6峰の取付きに到着。枯れた木、岩稜、雪のミックスのなかなか迫力のある全貌。ノーザイルで行くことにした。登りにくい箇所はあったが、危険な登りでもなく、多少腕力にものを言わせて登り切る。明日の核心である3峰に向けた良い準備運動になりました。アイゼンをつけて登りましたが、そんなに難しい箇所はなく。

 ただ、ここまでの北尾根全般的に言えることだが、ルートファインディングが結構難しく。雪の付き方によっても難易度は変わるのだと思うが、冷静かつ俯瞰的なルート選定が必要となる。



6峰

6峰のぼり

 6峰ピークから幕営地である5・6コルを目指して下る。ハイマツがあったり、浮石があったりで歩きにくい。そんなこんなで15時30分に5・6コルへ到着。本日はノーザイルでフィニッシュ。いやぁ、中々良い幕営地じゃないかと思わずニンマリ(無料)。

 ところが、その幕営適地の真ん中にうんこがあった。汚らしくトイレットペーパーがかぶせてある。また貴様か!1度ならず2度までも。うんこの質から考えて、尾根上にあったうんこ犯と同一犯と見て間違いない。なんでうんこ質を鑑定せにゃならんのだ。どうして涸沢ヒュッテから登ってきた山スキーヤー達に「そこにうんこあるんで注意してくださいねヘェヘ。」って俺たちのうんこじゃないですよってアピールを兼ねた気を使わなきゃならんのだ、気分を害しているのはこっちなのに。幕営地の真ん中でうんこするなんて本当に人じゃないのか?輪廻転成の過程でバグが発生して人じゃない何かが人として誕生してトイレットペーパーを使ったのか?とにかく犯人は森羅万象の現象の数だけ反省しろ!!!!!111


 気を取り直して、うんこを避けた位置でテントを張り、シェフのとっちが料理を始める。今夜は自家製の玉ねぎとニンニクをたんまり使った、トマトベースのポトフである!超!うまい!具を食べたら、残りのスープにエビピラフのアルファ米(賞味期限1年切れ)を入れリゾットが完成する。うま!!!疲れた身体にしっかりと栄養補給され、心も充足された。

幕営

5・6コルから6峰と元太さん

シェフのと&元太さん

栄養満点のポトフ


 18時00分に就寝。テントに若干の傾斜があり、就寝後にポジションを変えるなどがあったが、ぐっすり寝れた。

 翌2時30分起床。マルタイのラーメンを食し、テント内でハーネス装着等諸々の準備を始める、本日は冬服装備だ。風が強く、テントの撤収に若干手こずったが、アイゼンを装着し4時15分出発。

朝ラーメンはいいよな〜いいよな〜

冬装備にアイゼンだ

 体感では暖かいと感じながらもマイナス3度程度の気温であるため、雪はしっかりしまっており登りやすい。5峰も4峰も難しいところはなく、奥又白池側に沿って登った。途中の朝日も美しく、本当に心が洗われる。



美しい朝日

モルゲンルードロート

4峰へ向かう


朝日をバックに


いい高度感だ

槍を見つめる

 6時00分に3峰取付きに到着。ここからザイルを出す。元太さんがリードで挑む。ルートファインディングが若干難しく、何度か夏ルートに引っ張られかけたが、1ピッチ目は奥又白側を意識して登る、45m。後続は野戸っちと伊藤だが、二人はコンティニュアンスで。野戸っちが中間エイトで、伊藤が端末を担当する。これが二人のリズム、呼吸を合わせる必要があり意外とテクニカルだった(笑)伊藤は恥もなく、残置使用のエーゼロで完登である!使えるもんはなんでも使うのが登山だ!(開き直り)

3峰

 2ピッチ目、ここが核心?のオープンブックである。リードは元太さん、難なく進む、45m。3級ということだが、そんなに難しくはなかった。リードとフォローでは緊張度が全然違うので無責任な発言かもしれないが、1ピッチ目の方が高度感の影響で難しいと感じた。





 3ピッチ目はザイルを使わずに登り3峰ピークへ到着。2峰は目の前でありすぐ登頂。10mほど懸垂降下するためザイルを使用。

ザイルを回収したところだと思う

2峰に向かって登っていると思う

 8時25分登頂。ここまで1パーティも登っていなかったので、渋滞知らずで登ることができた。お二人が、「尾根上の景色はすごかったが、山頂までくるといつもの風景だ。」と話しているのを聞いて、そういうものかぁ〜と感心した(素人)。

やったぜ。

 下山は奥明神ダイレクトルンゼを選択。これは一度滑ったら止められない斜度である。下りも緊張感はきれず、バックステップで慎重に下るが、ふくらはぎに効くぅ〜!

これは滑って来られたら避けられない

いい緊張感

 10時30分、岳沢小屋に着きアイゼンを外し小休止。ここから一気に上高地バスターミナルまで下る。もう滑落とかの心配はないけど、暑いし、4kmもあるので結構疲れます。お水も残り少なくなり、いい感じに消耗し切りました。12:00上高地バスターミナル着。



【総評】

 結論、日本三大岩稜は全て体力登山。

 今回は体力の事前準備を怠った伊藤が足を引っ張ったが、非常に充実した内容となった。前穂北尾根慶應尾根は藪漕ぎ、岩稜ミックス、ダイレクトルンゼの下り。体力勝負と下りの緊張感は終始、充実した山行となるのは間違い無いでしょう。

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