2017年5月4日木曜日

2017.5.3~4 春合宿ー白馬岳主稜

 今回はバリエーション中級者向けルートを、坂本元部長、上野監督等のアルパインのベテラン勢抜きで登るという横浜市役所山岳部にとっても大きな一手となる山行なのである(後付け設定) 



【日程】2017年5月3日~4日(ゴールデンウィーク)
【メンバー】野戸(CL、写真)、伊藤(書記)
【コース】
○初日
 猿倉(4:40)⇒白馬尻(6:00)⇒8峰(6:35)⇒主稜稜線⇒山頂(10:20)
○2日目
 白馬岳山頂(4:15)⇒旭岳(4:50)⇒大雪渓(5:50)⇒白馬尻(6:50)⇒猿倉(8:00)


初日詳細地図



初日全体行程

2日目全体行程


〇前置き
 昨年、伊藤は仕事の都合で山行を直前でキャンセルすることが多く、野戸さんもその煽りで山行取止めという被害を受けていた。今回は絶対に山に行きたいと思っていたのだが、「どこからかミサイル発射されるかもしれないから、もし何かあったら対応よろしく。」といった通達がまたしても山行直前にあった。「ほんとに無理です、ミサイル撃たないでくださいお願いします。」というお祈りが通じたのか、今回は無事に山に行けそうだった。良かった。すみません、前置きが長くて。


〇前日~初日
 最近大雪渓の事故も直近にあってか、大先輩と保険担当が大変心配してくれていた。しかし、「昼は気温が高いが、朝早く雪が締まっている時間帯に登り切れば雪崩は起きないはずだ。雪崩が来たら御大の教え通り『直前で避ける』を行う。現場を見て、危険と判断した場合は即撤退。」という決めの中で山行を決行した。
 5月2日20時…伊藤車(ハスラー5MT4WD)が野戸宅に到着。野戸さんを乗せ、一気に猿倉荘の駐車場へ向う。長野県大手町のコンビニで行動食や朝食を購入。猿倉荘駐車場には翌3日午前1時20分着したが、ゴールデンウィークだというのに車が少ないように感じる。やっぱり大雪渓の事故が大体的に報道された影響なのだろうか。すぐさま車中泊をし午前3時に起床、100分の睡眠でもスッキリするものだなと思いつつ各自朝食を取り、身支度を済ませる。「水を5L持ってきたんで、今回も安心だぜ!」と言ったら、「多すぎるからせめて1Lは捨ててください。」と言われ、横浜の水1Lを白馬に帰したのだった。そして4時20分に猿倉駐車場から出発するも、いきなり登山口入口が見つからず道に迷ってしまう。山行中のルートは入念に調べるのに、こういった駐車場入口等をあやふやにしてしまうことがあるので注意だ…よくある…よくなくない?ということで20分ロスったので4時40分出発という扱いにした、てへぺろ。

 猿倉駐車場から白馬尻まで1時間20分。積雪しているものの、トレースはばっちりついており、アイゼンなしで問題なく歩ける。二人とも久々の雪道だったので、ウォーミングアップには丁度良かったのかもしれない。
 白馬尻に到着すると主稜のルートが綺麗に見えた。遠巻きながらトレースも確認でき、先行パーティが4組程いるようだった。ビーコン、アイゼン、ハーネスを着用しながら周りを見渡すと、結構雪崩の跡があった。雪崩が起きそうなルートは外し、気温が低いうちに山行を終わらせよう。

 8峰を目指してトレースになぞって登り始める。…これは結構な急傾斜やんけ…いきなりふくらはぎがパンパンやぞ…。相変わらず野戸さんのスピードは速く、伊藤の心臓が悲鳴を上げていた。だが、この8峰に行くまでが一番雪崩が起きやすいと思われるので、ここは必要以上に急ぎ足で行ってて良かった(はずだ)。

急登を終えリッジになったところ。先行する伊藤
休憩。漢、伊藤。



 








 8峰~3峰までは、どこが〇峰というのがはっきりわからなかった。というか全然わからなかった。ここまでは雪上のナイフリッジ、シェルンド、急傾斜といったような内容が続いていた。途中で振り返ると、とても美しい風景が広がっており、これが見られただけでも今日来て良かったと思える。美しすぎて危険な場所だと思ったのは久しぶりだった。主稜から大雪渓も一望でき、大勢の人が登っている様子が見れた。もしかしたら、遭難者の捜索もしているかもしれなかったが、それを判別することはできなかった。やはり人間は自然の中ではあまりにも小さい。
 途中でいくつかのパーティを抜かしたものの、どのパーティも登り速くなかなか追いつけなかった。こんな急傾斜地をグイグイ登っていくなんて、どんな屈強な猛者が登っているんだ?学生か?と顔をのぞいてみると皆さま大先輩の顔立ちだった。たぶん、私の父親(昭和23年生まれ)よりも年上ばかりだった。…何者なんだ、この人たち。

杓子岳

つながる雪稜。





 高度や雪面から考えるに2峰であろう場所にたどり着いた。ここからは今まで以上の急傾斜地と最後に雪壁という核心部となり、ロープでの確保が必要になるパターンが多いらしい。60m登攀の最大2ピッチ。しかし、二人の経験や技術力に鑑み、「ノーザイルで行く!」「伊藤さん、ダブルアックスで行きますか?」「否!シングルで十分だ!」と意気揚々と登り始めたが、(…やっぱダブルアックスが良かったな。)とすぐに後悔するのであった。角度が70度ぐらいあるので、やっぱり怖かった…。
 とは言うものの、シングルアックスでもしっかり雪面に打ち込み、アイゼンも十分蹴りこめば全く問題ない(※雪の状態によります。今回は割と雪が締まっていたので大丈夫でした。)
 仮に蹴り込み不十分で、下にずり落ちたとしても、慌てず左右に落ちないようにすれば、元の位置まで戻ることができると思う。左右に落ちたら滑落と言えるぐらい落ちるのは間違いない。

 そして最後の雪壁を登り切ったところで、白馬岳頂上である。核心部を越えたところが頂上というのは気分が良いものだ。





 頂上で昼食を摂り、白馬山荘付近で山荘の店主に許可を得てテントを張った。その後は、各々好きなことをして夕方まで過ごした。夜は野戸シェフのクリームシチュー!の後のウィンナー焼き!うっひょお!そして18時に就寝。満天の星空と大町の夜景が心を洗った。

 翌、2時45分に起床。朝食を済ませ、テント等完全撤収後の4時15分に出発し旭岳をめざした。途中の分岐で荷物をデポし、旭岳を登ったが結構急傾斜じゃねぇかコノヤロウ。今回の山行はずっと急傾斜じゃないか。そしてもって登り速度が速い、速すぎるよ野戸さん!(古川登志夫)心臓が壊れちゃー↑う。
 旭岳の道中も大雪原で素晴らしい景色だったが、旭岳山頂から見る北アルプスの朝焼けは思った以上に神々しかった。







 十分に朝焼けを楽しんだ後は、大雪渓でのシリセードだ!と意気込んだものの、雪が固すぎてうまくできずに断念した。下りは登りよりも楽は楽だが、やっぱり疲れる。へとへとである。
 大雪渓にはいくつものデブリが存在したが、捜索している様子はなかった。

 なんやかんやで8時には猿倉荘に到着。安全を重視したスピード登山となりました。


バリエーションルートでは中級者向けのコースということではあるが、雪の状態やトレースの有無によって難易度が左右されると思う。今回は運よく天気に恵まれ、十分な雪量と雪が締まっていたので難なく突破できたが、天候が荒れればルートファインディング能力が試され、雪量が少なければ岩稜登攀で技術力が必要であるし、雪がグズグズなら雪面は登れない可能性もあった。前日や当日の天候によっては雪崩の危険性もある。つまり今回の総評はこうだ!

【総評】
良かった。


すみません疲れたんです許してください。

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