2015年4月5日日曜日

厳冬期・富士山

 昨年秋に入った新人の上野(か)です。 少し前になりますが、富士山に行ってきたので報告します。

日程:2015年2月7日(土) 夜行日帰り
天候:快晴
行程:太郎坊0:00-御殿場口登山道-剣ヶ峰10:25~55-太郎坊洞門16:30
単独

 
 金曜日、仕事から帰って自宅で少し仮眠、東名を走り23時過ぎに御殿場側の登山口に到着。
 スタート時刻は午前0時。
 冬だと並のペースで登り10時間、下り6時間はかかるので、このぐらいに出発しないといけません。


 今回はけっこう深い雪。出だしからヒザまで潜るラッセルとなりました。
 暗闇の中をヘッドランプで照らしながらワカンを付けて進んでいきます。


 しばらく行くと、近道で追い付いてきた単独の登山者と出会います。
 ほぼ毎月のように富士山に来ているようで、ルートにもやたら詳しいです。
 今回は新調したスノーシューを試しに来たようで、「ここでこんなに深いなら今回は頂上まで行けないかもしれない。」とのこと。
 とりあえず行けるところまで行ってみましょうと、二人して登り続けます。


 途中でラッセル交替するつもりでしたが、やはりこういう斜面ではワカンよりもスノーシューの方が断然強い。
 ついていくのがやっとで、とてもこちらが前に出ることができません。
 西の空には満月が輝き、広大な雪の斜面を黙々と登っていきますが、ペースは上がりません。


 途中で行動食をとり、斜面の雪もようやく固くなってきたのでアイゼンに履き替えます。
 各自、自分のペース、そして好きなルート取りで高度を上げていきますが、ほとんど徹夜の弾丸登山なので、途中からやたら眠くなってきます。
 足元がフワフワしてまったく力が入りません。



 やがて日の出。
 背後の空が紫色からオレンジに染まり、その下に駿河湾や山中湖がうっすらと姿を現わします。
 山での日の出はこれまでも数多く見てきて、それぞれに美しい情景として目に焼き付いていますが、冬富士のそれは自分が空に近づいている感覚すらします。


 
眠さもあって先の単独の人にはだいぶ離されてしまいましたが、朝陽を浴びたら体内時計がリセットされたようで、再びペースを取り戻してきました。
 八合目辺りでそれまで先行していたその人をロック・オン(笑)
 高度の影響が出たのか、それともここまでのハイ・ペースがこたえてきたのか、彼のスピードがガクンと落ちました。
 声を掛けて、今度は自分が前に出ます。


 しかし、ここから先でいよいよ冬富士の本領発揮。
 ガチガチに凍りついたアイスバーンが現れ、アイゼンの歯がまるで効きません。
 子猫の爪で引っ掻くようにして何とか危険箇所を越えて行きますが、このまま登り続けて大丈夫なのかという不安が常にまとわりつきます。
 風の強弱、雲の流れ、自分のコンディション・・・。それら全てを確認し判断した上で進まないと、命とりとなります。



 やっとのことで御殿場口の頂上。
 鳥居をくぐり、最高峰の剣ヶ峰を目指します。

 何とか無事に到着。自分にとっては二度目の冬富士登頂となりました。

 しばらくして、先ほどの単独の人も到着。
 二人してお互いに写真を撮り合い、健闘を讃えました。





















 下りは下りで、また長い道のり。
 事故は、むしろ気が緩み、身体が疲れ切った下りにこそ起きるので、最後まで慎重に足を運びます。

 予想通り行動時間は休憩も含めて16時間以上!
 何を好き好んで・・・と思われるかもしれませんが、冬の富士山の魅力と達成感は実際に自分の足で歩いてみないとわからないでしょう。


 今年は夏のモンブラン遠征に向け、GW明けからまた数回は富士山に登る予定です。
 夏もまだ登ったことがない方、雪のある時期に行きたいと思っている方、いらっしゃいましたら、一緒に登りましょう!



 上野(か)・記 

1 件のコメント:

  1. これも来年行きたいですね。我々もモンブランに向けGW明けから富士訓練しますので一緒に行きましょう!! 坂本

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