2015年8月31日月曜日

モンブラン&マッターホルン山行記録(後編)

■8日目(8月1日)@シャモニー
 
 シャモニー帰着後すぐに向かった観光案内所で、天気予報を確認、担当者のベルナデットさんとも相談の上、翌8月2日~3日をモンブラン再アタック日に決めていたため、今日はその準備兼休養日である。シャモニーは雨、モンブラン含め、山の上は雪とカミナリのコラボで大荒れの模様。
 お昼を食べたり、お土産を買ったりしながらブラブラ過ごす。
 マッターホルンで痛めた坂本リーダーの脚はよくならず、坂本リーダーはモンブラン棄権を決める。坂本リーダーの不在は大打撃だが、もうとにかく頑張るしかない。
 
 
 14時にベルナデットさんとの約束があったため、観光案内所へ向かいコスミック小屋宿泊に関する最終確認を行う。ついでに山岳協会で保険の手続きも済ませた。
 夕食の食材を買って夕方キャンプ場に帰宅。

パンとケーキのお店♪
ケーキのシロップには蜂が群がっていました。
おおらかでいいなあ




なんと、ホウレンソウのバラ売り!!
農業専門家・河合さん感激のひとコマ


















■9日目(8月2日)
  いざ、モンブランへ。今回のアタックが、当遠征のラストチャンスである。
 ベルナデットさんに出発のあいさつをし、ついでに山の登山状況も教えていただいた。
 前日に積もった新雪の状況などから雪崩の危険を鑑み、コスミック小屋では宿泊客に今日は登らないよう、指導しているとのこと。1パーティだけ、モンブランへアタックしているものの、彼らがどこまで登ったのか、状況は不明。いずれにせよ、トレースは薄そうである。
 また、崩落のためベルビューから下る登山電車が運休してしまい、復旧には1カ月かかるとのこと。下山は線路か脇のハイキングコースを歩くことになり、下山に必要な所要時間が予定より大幅に増えてしまった。
 なんだかついていないが、タキュル、モディの斜面の雪が今日一日の晴天で落ち着くことを祈りつつ、出発。

今回は動いた!ゴンドラで再びミディへ

コスミック小屋から望む氷河
去年より短くなっている気がするのは私だけだろうか。
 

フランスの山小屋といえば、これ。
ドンブリ紅茶(or コーヒー)


明日に向けて作戦会議
タイムリミットは、モディ山頂10:00
フライトの都合上、なんとか3日中に下山したい



















■10日目(8月3日)
 0:00時、起床。ドンブリコーヒーとパン、チーズの朝食を済ませ、1:00に小屋を出る。
 外は真っ暗。雪は締っており、ベストコンディションである。雪が安定しているうちに、日の登る前にタキュルの斜面を登り切りたいところだ。途中、大きなクレバスに架けられた梯子の上部が、雪解けと大勢の登山者に踏まれたため大きく削られてしまい、梯子がロープで宙ぶらりんの状態になっていた。梯子最上段からクレバスの上の斜面に上がる一歩はかなり大きくなっていた。当然よく揺れるのだが、それ以上にとにかく見た目が恐い。河合さんの確保で全員無事に渡りきる。
 5:00タキュルの斜面を登り切り、尾根上に出る。モディへのコルへ下りる途中で日が昇りはじめ、急速に明るくなっていく。モディが朝焼けで赤く照らし出され、きれいだ。
 先行パーティはガイドを含め、続々と引き返してくる。モディの斜面は見るからに危険な雰囲気を醸し出している…雪がべったり付いている上に、トレースもなさそうである。1パーティ、モディに登り始めているが、彼らがラッセルをしているのだろうか。とにかく、行ける所までいくことに。
 万が一雪崩に遭った時の危険を考え、間隔をあけて歩くように、という河合さんの指示。均等の間隔を維持しながら歩くのはとても難しかった。また、雪がやや氷のようになっている斜面があったり、大きな雪庇が上にあったりと、ところどころ緊張する場所があった。
 あと30分ほど登ってクレバスを越えればモディの尾根に出る、というところまで来た時、なんと、とんでもない光景が。先行パーティらしき2人組みが引き返してきている(※後に先行パーティではなかったことが判明)。この先、トレースがないとなると、時間的にかなり厳しくなる。また、モディを越えればモンブラン山頂までは平坦なコルと緩やかな斜面が続くとはいえ、先日の嵐で状況はどうなっているかわからない。登頂はできても、フライトの時間までに安全に下山できるだろうか…。尾根まで上がってモディの向こう側の状況を確認してから判断するか、その場で引き返すことを決めるか、意見は分かれたものの、下山を決定。午後になって気温が上がれば雪崩の危険が大きくなるので、早めにミディのコルまで下りることに。
 
 やっぱり、モンブランは大きい、難しいなあ。気持ちの上では這ってでも登頂したかったけれど、気持ちだけでは登れないので仕方がない。修行を積んで、技術を身につけて、登れるまで何度でも挑戦しようと思う。
 また次回、次に来る時こそは登りたい!


モディの朝焼けとお月さま

大クレバスを空中懸垂(梯子はもはや足が届かない状態に)
どこまでも青い空、遠くにミディ



























 
 
 

■11日目(8月4日)
 
 12:00、予約しておいたアルピーバスが時間通りにキャンプ場まで迎えに来てくれた。
 ところで、ジュネーブ空港って手荷物検査通過後に某有名ナイフの免税店があるけど、いいのかな…。
 
■12日目(8月5日)
 無事、成田に帰国。
 
 
 
≪memo≫
 私の場合、やはり実力不足でした。ザイルワークをはじめ、基本的な技術の底上げが不可欠だと痛感。ヨーロッパアルプスはスピード勝負なところもあり、チームの全員が誰がトップに出ても問題ないだけの力を付けていないと厳しいと感じました。今回の反省を次の登山につなげられるよう、日々の練習と一回一回の山行を大切にしていきたいと思います。
 
(文責:廣井)
 

1 件のコメント:

  1. 報告お疲れさんでした。結果は残念でしたが、とても良い経験でした。みんなが大きく成長した遠征でした。無駄にすることなく、今後につなげていきましょう(^^)

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