2015年5月6日水曜日

利尻山・東北稜-2015春山合宿その1

 日本の最果て、北海道の利尻山へ行ってきました。
 当初は国内でも最難クラスと言われる南稜が目標でしたが、いろいろ検討した結果、バリエーション・ルートの一つである東北稜へ。


日程:2015年4月29日(水)~5月5日(火)
メンバー:坂本リーダー、伊藤、松浦、上野(か)


一日目(4/29)晴れ
 羽田集合、松浦隊員が若干寝坊するも(笑)四人揃って一路、稚内へ。
 国内の山へ行くのに飛行機を使う機会もそうそう無く、まさに遠征と言った感じです。
 20kg近い大型ザックを機内に預け、2時間弱の空の旅。途中、鳥海山や八幡平など雪を頂いた東北の山々が眼下に見えた。
 稚内からはフェリーで利尻島へ。
 初めて見る洋上の孤高の峰はやはり崇高なイメージでした。
 上陸後、坂本リーダーのてきぱきとした手配で、タクシー確保、警察への登山届提出、食料買い出しを一気に済ませ、登山口のアフトロマナイ沢へ向かいます。
 この日は林道を少し上がった標高100m付近にテント泊。利尻は北海道でありながらヒグマがいないので助かります。














二日目(4/30)晴れ、強風
 朝食後、出発。少し歩くと雪が出てくる。
 林道が大きく右に曲がる所から大きな涸れ沢を横切り、正面右手の尾根に取付きます。
 このGWは日本全国、雪が少なめのようでここ利尻も例外ではなく、予想以上の軟雪とブッシュでした。
 そして標高700mぐらいの所でいきなりの利尻の洗礼!物凄い強風が吹き荒れます。
 利尻は独立峰で、さらにこの日は低気圧の通過である程度は覚悟していたのですが、身体ごと倒され、まともに歩けません。
 後日、町の人に聞いたらこの時の下界の風速は毎秒18m。標高700mではおそらく20~25mはあったでしょう。(ちなみに台風の定義は毎秒17m~)
 それでも自然にできた雪洞に避難し様子を窺いながら、ホフク前進のようにして高度を上げていきました。
 細いスノーリッジ、ブッシュ混じりのトラバースなどを坂本リーダーの積極的な判断、伊藤隊員の圧倒的なパワー、松浦隊員のアグレッシブなコース取りで越えていき、この日は標高1,400m付近まで。
 三本槍と呼ばれる尖った三本の岩頭の脇の窪地を掘り下げてテントを張りました。
 頭上には利尻の雪稜、眼下には大海原。本州の山ではなかなか味わえないロケーションです。
















 



三日目(5/1)晴れ
 昨夜は再び強風に吹かれ、テントが吹き飛ばされそうな一夜でしたが何とか無事。本日はいよいよ頂上アタックです。
 細いスノーリッジを越えていくと、「門」と呼ばれるこのルートの核心部です。
 脆い岩の凹角を伊藤隊員が大きなザックを背負ったまま、ロープを引っ張っていきます。
 「門」を越えると巨大なローソク岩。利尻ならでは特異な風景に目を奪われます。
 懸垂下降で右側の谷に25mほど降り、あとは頂上まできつい傾斜の雪面を交替でラッセルしながら登っていきます。
 そして頂上。天候に恵まれ、360度の展望が広がります。
 標高は2,000mに満たないものの緯度が高く、また海抜0からの登りなので、素晴らしいスケールと高度感です。
 最高峰の南峰まで足を運び、再び風が強く冷たくなってきたので下山開始。
 雪がグサグサに腐った一般ルートの北稜を下り、途中から沢に入って尻セードなど楽しみました。
 その日は麓のキャンプ場まで一気に下山。温泉で汗を流し、夜は登頂成功の至福の一杯です。


























四日目(5/2)曇り、強風
 この日は予報どおり強風。利尻山の上部は不気味な笠雲に覆われています。
 午前中は港の近くにあるペシ岬を散策、午後は読書、洗濯など休養としました。
 今日も山の上にいたら強烈な「利尻の風」を受けていたことでしょう。坂本リーダーの的確な判断に感謝です。



















五日目(5/3)晴れ
 本日はレンタサイクル(ママチャリ)で利尻島一周(約55km)へ。
 強い海風に若干喘ぎましたが、途中「利尻ラーメン」を味わいつつ、東西南北、様々に形を変える利尻岳のルートを観察しました。



















六日目(5/4)曇りのち雨、強風
 強風によるフェリー欠航を恐れ、早めに稚内へ移動。さようなら、利尻。
 稚内ではレンタカーで日本最北端の宗谷岬、白鳥が多く生息する大沼などを見学しました。(大人の遠足?)
 その後、入浴・買い出しをし、市街裏山にある森林公園キャンプ場で、北海道「最後の晩餐」です。
 野生のエゾジカに見守られながら東屋での一夜でしたが、夜半から強い風と雨で、けっこうキツいビバークとなりました。


七日目(5/5)晴れ
 お土産の利尻昆布をいっぱい買って横浜へ。
 これまでの心労が重なったか、稚内-千歳間のプロペラ機では坂本リーダーがまさかの体調不良になりかけたが、羽田に着く頃にはまた回復。
 特に大きな怪我もなく、全員無事登頂という一定の結果を残せました。ありがとうございます!





 
 










【利尻・ザ・ムービー】




上野(か)・記

3 件のコメント:

  1. 報告お疲れ様でした!
    上野さんと一緒に行けて本当に幸せでした。
    ラッセルに強風時の的確なルートファインディング本当にありがとうございました!
    坂本

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  2. いい山行でしたね~お疲れ様です。
    一緒にいきたかったなぁ~(>.<)!
    最後の利尻の写真、迫力ありますね。
    動画のアップも楽しみにしていますね。
    長谷川

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  3. 報告&動画作成ありがとうございます!
    こういう形にすると雰囲気伝わりますね~選曲もいい感じです。
    次の山行もよろしくお願いします!

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