2015年1月20日火曜日

阿弥陀北西稜 登攀

日程:2015年1月17日~18日(1泊2日)
天気:17日・雪、18日・快晴(強風)
メンバー:坂本・伊藤

阿弥陀岳の人気ルートでルートグレード3級+(ピッチグレードⅣor Ⅳ+)

17日
朝一で美濃戸に入り南沢を業者小屋に向かう。
阿弥陀北西稜のルート入口は、南沢の1個目の雪田の先にある林道に入り少し行った右側にある。
入口には門のように木が立っていて右側の気にZのマークがありここが入り口となる。



入口を確認し、入口の少し先の林道上にテントを設営した。林道左側に設営ポイントは2箇所あり。



設営完了し、一休みしたのちルートの偵察と露岩までラッセル跡をつけに行った。
ルート入口には踏み跡があり、入口から少しまっすぐ進み右にルートを取り目の前の雪面を直登する。トレースは北西稜の稜線に上がる途中で消えていた。
地形図とコンパスを頼りに露岩の位置を確認しながら尾根を直登していく。しばらく直登すると尾根に出た。後は尾根沿いに進めば露岩にたどりつく。露岩を確認後、伊藤隊員の体調がすぐれないことと、目的の露岩までのラッセル及びルート作りが出来たのでテントに戻った。入口から露岩までのラッセルは深いところで胸だったが約1時間半で到着した。
伊藤隊員の体調回復を考え、テントに戻り15時に夕食を済ませ16時に就寝した。
外は天気予報のとおり、雪がちらつき風が強かった。

18日
この日は事前天気予報では高気圧の張り出しで晴れ、風も次第に弱くなる予報だった。
3時に起床し、雪はやんでおり、風もなかった。
伊藤隊員の調子も良くも悪くもないので4時20分に行動開始
トレースは残っていたり、消えていたりしたが、ルートは明瞭に分かったので40分で露岩に到着
露岩を右に回り込み稜線に上がる。草付きと岩のミックスだが降雪量が多く雪稜となっていた。
稜線を上がるにつれ、風が強くなってくる。トレースは完全に消えており、ラッセルは膝~腰
しかし、踏み跡は明瞭にわかり足を置いて硬い部分を探しながら確実に進む。
1時間ほどでゴジラの背のような岩稜に到着
風が強く寒さが増した。時刻は6時、赤岳方面が明るくなってきた。
雪雲が残っていたが西の空も晴れていたので雲は消えると判断し足を進めた。
岩稜を超えるとビレイ点となる顕著な残置シュリンゲがあった。
ここでロープを出す。
ビレイ点から右に進み、雪壁の登り出しに1ピンがある。クリップし登攀開始
Ⅲ級のルートだが雪が多く草付きか岩かが目ではわからないので、アックスを打って確認する。
残地ハーケンが確認できないもアックスとアイゼンの刺さりが良いので慎重に進む。
25mほど行き直上する小さなおうかく内で残地ハーケンを確認できた。
雪壁から稜線に上がりしばらく行くとビレイ点が確認できた。ロープ約40m使用。
今回は、トランシーバーを実戦投入したが、これがとても役に立ち強風の中でも簡単にコールの確認ができた。
2ピッチ目開始点、とても寒く、また最初の登攀だったのもあり手が痛いほどかじかんだ。
伊藤隊員に異変が発生。
体調不良と寒さからのチアノーゼ、左手の痛みを訴える。
しかし、戻れる場所ではないので左手をマッサージし回復傾向が見れたのでアタックを継続した。
2ピッチ目、ルートは右・中央・左のバンドに分かれる。
今回は左のバンドに進んだ。しばらく行くとハーケン、残地シュリンゲと順に確認できた。
残地シュリンゲの直上にも残地シュリンゲが確認できたが、さらに奥に行くとこちらにも残地シュリンゲがあり、ルートを勘違いし奥のクラックまで詰めてしまった。
クラックを数度試し見るも登れず、ルート違いと判断しクライムダウンし最初の残地シュリンゲに戻った。
クラックでは、坂本のピッケルが残地シュリンゲに引っかかり回収不能状態になるかと思われたが伊藤隊員がここぞの力を発揮し回収。ありがとう!
ルートを回復し、核心にアタック
残地ハーケンやシュリンゲが多数あり、あぶみ・A0・ドライツーリングで通過可能
ドライツーリングの場合はⅣ+くらいかな
意地を見せてドライツーリングで通過する。
核心を超えて少し直上すると終了点があった。
後は雪稜を上がれば稜線に合流する。
10時10分阿弥陀到着(5時間40分)
強風の中、無事に完登攀出来た。


阿弥陀山頂を11時過ぎに出発し、12時に阿弥陀中のコルを経由し業者小屋、テントへと帰ってきた。

感想
ラッセル・体調不良・強風・ルート間違い等あったが、適切・迅速に対応が出来た。
ルートも全て自分達で作り完登できたので自信がつき、これまでにない達成感を味わえた。
玄人向きのルートとも言われる北西稜
トレースなしで行ければ醍醐味を存分に味わえると思います。




1 件のコメント:

  1. お疲れ様です。臨場感のある報告ですね。心配な場面もあったようですが2人とも無事で何よりです。次の山行報告を楽しみにしています!長谷川

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